玄関でのマナー 靴の脱ぎ方 上着やコートはいつ脱ぐ?

朝起きてから眠るまで、私たちの生活は他人の目に触れている時間が意外と長いものです。家族、ご近所さん、会社の人、友人、すれ違うだけの人。ちょっと怖い話ですが、気づかないうちに、「あの人って常識ないよね」「そんな事も知らないの? 格好わるい」なんて思われてしまっていることもあるかもしれません。自分自身のことを客観的に見る事はできても、自分の目で見て直接的にチェックする事はできませんよね。

悪いことをした覚えはないのになんだか周りの目が変な気が? と思う事があるなら、もしかするとそれは「マナー違反」のせいかもしれません。日常のマナーを知って、スマートかつ美しい所作を身につけましょう。

まずは私がいつも気になっている仕草、「玄関での靴の脱ぎ方」についてです。皆さんは正しい靴の脱ぎ方をご存知ですか? 毎日繰り返し行う行為ですので、ぜひ、マナー入門として覚えておきましょう。


後ろ向きで玄関にあがるのはみっともない!

靴を脱いであがるとき、靴が戸口に向いた状態になるようにくるっと回り、後ろ向きで玄関にあがるという人も多いでのは。これはマナーに反した、みっともない行為なんです。

玄関での靴の脱ぎ方は、まず ①正面を向いたまま靴を脱いであがります。 ②家人と反対側に少し斜めに(壁に背を向ける形で)屈み、ひざをついて靴のつま先を出船(戸口)に向けて揃える。

①も②も、家の人に対してお尻を向けるのが失礼であるためです。スリッパが用意されている場合の順序は①と②の間でスリッパを履くのが正解です。帰る際には靴を履いた後に整えます。ラックに戻す必要はありません。

マナーは一概にこれ! とは言い切れず、時と場合、立場によって例外もあります。お店の小上がりなど上がり框(かまち)の高いところでは、後ろを向いてあがり、出船に脱いだ方が美しい仕草となります。揃えるために小上がりの上から膝をついて屈むとお尻が突き出てしまうので、美しい仕草には到底見えませんよね。


武士の名残で靴の位置が決まるでござる

では、脱いだ靴はどの位置に置くといいのか? これは家人から遠い方、またはシューズボックス側の隅に寄せて揃えて置いてください。履物を出船に向けて脱ぐのは見た目の美しさともうひとつ、今となっては遠い遠い昔ではありますが、武士がいざというときに履きやすく出陣しやすいためにしていたことの名残でもあります。また、例外の場合として考えられるのが、腰が痛くてしゃがめないなど、その動作がどうしてもできない場合などです。そんな時は“腰が痛いので後ろ向きで失礼します”など一言声をかければ相手も自分も不快にならずに済むでしょう。


おまけ。上着やコートは玄関はいつ脱げばいい?

靴を脱ぐ動作に関連して、「親戚宅や友人宅に招待された」場合の付け加えとなりますが、肌寒くなれば上着やコートを羽織って訪ねますよね。これらはいつ脱ぐのがいいのでしょうか? 正解は“玄関に入る前に脱ぐ”です。上着やコートにはチリやホコリなどがついているので、家の中を汚さないよう玄関に入る前に脱ぎます。裏地側が表になるように折り畳みましょう。帰りもコートを広げ、着るのは外へ出てからです。

どうでしょう、普段から心がけている方はどれくらいみえるでしょうか? 男性であっても女性であっても所作の美しい方は実にスマートで、それだけで「しっかりしている」「誠実そう」「素敵」「憧れる」という良いイメージになりますよね。いつでも人に見られているということを意識して、ぜひ実践に移していきましょう。